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ユーザー検証
ショーハツ 石川県小松市
「極」薄物加工の限界に挑戦

 レーザ加工において、機械ユーザーから加工機へのニーズとして、主に板金加工分野での「効率性」というものがある。しかし、ある意味、効率性と相反しかねない「超精密・超微細」というもうひとつのニーズが存在することも確かだ。その違いが何なのか。石川県の小松市で『極』薄板加工に挑戦し、ミクロン台の薄板の精密加工を行っているショーハツで話を聞いた。

 ショーハツは昭和38年に新小松発条として誕生した。名が示す通り、スプリング製作がメインだったが、一部、コンターマシンを用いてのシム加工や、試作品加工なども行っていた。
 創業当時から、建機メーカー、コマツの関連企業として仕事を行ってきた中で「小発」の略称が定着。平成4年に高橋裕喜雄社長体制が発足したのと同時に、正式な社名として「ショーハツ」に改称し今に到る。現在もメインの取引先はコマツで、売上げのおよそ4分の3を占める。
 高橋社長は、社長就任後、自らが入社当初から担当し、最も得意とするシム加工を事業軸にすえることを決断。在庫負担の大きいスプリング製作をやめた。
 高橋社長の言葉をかりると「面白みのある仕事がしたかった」そうである。大手ユーザー相手で安定感があるとはいえ、横並びの製品を何種類も作り続ける事に限界を感じ、同業者に全て譲り渡してしまった。
 以来、シム加工に特化し、設備を整える中で「高速薄板精密加工」に焦点が絞られてくる。現在では、切断板厚が5μmの『極』薄板から最大100mmの厚板まで対応(水素ガスも設備しているため)。建設機械のトランスミッションディスクや、ブレーキディスクといったプレートもの全般の試作・量産加工に幅を広げている。
 当初、0・5mm以下の薄板加工には、コンターマシンを使用していた。しかし、コンターマシンでの地道な作業では効率が悪く、試作品の短納期化、量産品の高速加工化に対応するために、残業が続く。加工速度が速い他の設備を使うことを考え始め、挙げた候補に炭酸ガスレーザ加工機が出てきた。
 「『より早く』と『より薄く』の両立を考え、様々なレーザ機を試したが、10年ほど前の段階ではどのメーカーの製品でも、0・5mm以下の薄板になるとワークを溶かしてしまい対応できない。板厚が命のシムにドロス(溶残物)が付いたのでは意味が無い。より薄い板厚の加工が可能であるという差別化を図りたかったので、レーザ加工機を諦めて、針で加工する特殊なタレパンを設備するように手配を掛けていた。そんな時に、たまたま出かけた展示会で、地元の澁谷工業さんの炭酸ガスレーザ加工機の存在を知った。見れば、不可能だと思っていた0・1mmのステンレスの加工見本がある。驚いたが、すぐにタレパンから乗り換えようと思った」。
 以来、澁谷工業レーザ加工機一筋。50名強の企業が10年間に購入した台数が9台というから、惚れ込みようも半端ではない。「低速軸流の発振器を持っていたことが澁谷さんの強みだと思う。モードが単一でビビリが出ないから断面が綺麗。今、主流の高速軸流では決して出せない精度が出る。出力面で弱かったが、だからこそ、薄板加工の道をとことん行こうと腹を括れた。だからこそ、今の当社があると思っている」。
 実際、同社の持つ技術力への評価は高い。最大の取引先であるコマツでは「レーザ加工で困ればショーハツに聞け」が合言葉と化しているという。「マザーマシン」を標榜する精密工作機械メーカーからの注文も最近になって増えてきた。
 レーザ加工機を、機械としてみているのがショーハツの特長だ。「当社はあくまでもシム加工業者。シムの加工に向いているかどうかが判断の軸」と高橋社長。続けて「発展途上の機械であることが、機械加工機としてのレーザ加工機の面白み」と。
 「電力効率が4割位だし、他の工作機械に比べれば耐久性も悪い。価格的にも決して安くないし、管理費もかかる。そういった意味で、まだまだオペレータ・企業の持つノウハウがものを言う機械。だからこそ面白い。よりインパクトが与えられるような加工・製品を求めて日々努力でき、作業者のモチベーションも上がる」。
 9台のうち炭酸ガスレーザが7台(内2台は更新需要)と、水素ガス切断機1台に(レーザではないが)ウォータージェット加工機が1台。これらラインナップが、幅広い板厚のさまざまなワーク材種に対応する力を育んだ。「最近では、本を切って欲しい、という注文を頂いた。紙だから、ガスレーザじゃ燃えてしまう。当社がウォータージェットをもっていると聞いて、頼みに来られた。面白そうだし、変わったものを切りたかったから引き受けてみた。少し湿ったが、綺麗に切れた。非鉄の分野で使いこなしていきたい。また、環境面がうるさい昨今、水素ガス切断機を持つことは強みになると思う」。
 現在、矢田野工業団地に新工場を出すべく準備を進めている。レーザ加工機の専用工場にするつもりだという。5月には通算10台目の澁谷工業加工機を購入する。「澁谷さんには、もっと高精度な機械開発を進めてもらいたい。レーザ加工機メーカーで、それができる力があるのは澁谷さんだけだと思う。われわれをモニターとして使ってもらえればいい」。
 機械と素材が揃えば、ナノレベルの薄板切断の世界がそこには待ち受けている。

76号(20.4.1)