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再研削の現在(第4回)
グリーンツール<岡山県笠岡市>
ニーズに応じたオーダーメイドの刃物を「製作」
 昭和53年、大阪でメタルソー・バンドソーの研磨を行う関西技研工業として創業したグリーンツール。昭和57年に福山に工場を建設して以降、中国地方に生産拠点を持つようになり、平成15年に現在の岡山県笠岡市の本社工場に移転した。工具再研磨業は昭和63年から始めており、20年近い経験を持つ、再研磨の老舗の1つである。平成13年に、現在の社名、グリーンツールに変更した。パート従業員も含めると、およそ110名の社員数。
 業務エリアは全国ほぼ全て。東京・神奈川・愛知・大阪・九州に営業拠点を持つ。大手自動車メーカーを中心に、松下電器等の家電メーカー、JFE等の鉄鋼関連、航空機産業と顧客の層も厚い。
 藤原雅義社長によると、同社が再研磨を請け負うのはソリッド式切削工具が中心。特に、エンドミルの再研磨を得意とする。他にもドリル、タップ、リーマー、カッター等。曲面や多段の付いた特殊形状の工具再研磨も行う。工具の素材も超硬、ハイス隔てなくも請け負う。「モノにもよるが、納期は1週間くらいが相場。当社は、単なる再研磨を行うのではなく、工具メーカー製の標準品をお預かりし、顧客の切削条件、作業環境、要望に併せて、オーダーメイドの刃物をお作りしている。硬いワークでも軟らかいワークでもある程度削れる標準品を、ユーザーのニーズに特化した工具に作りこむ。万能ではなく、ある1点で標準品よりも優れた製品づくり。そこが当社の強みであり、評価いただいているところと思っている。また、超硬工具関連では、今やコーティングは必須。品質安定化・短納期化を図るためにも、社内にコーティング設備も持っている」。
 工具商社経由で注文が来ることも多いという。新品を売りたいはずの商社が、顧客サービスもあるだろうが、再研磨に関わってきているということは、「再研磨業界」の規模が、商社にとっても無視できない規模になってきていることを示す。顧客からのニーズがより幅広くなっていく時代になりつつあるようだ。「刃物に要求されるのは、3種類。切削性・耐久性・品質。これらを全て満たす、『ものすごく削れて、ものすごく長寿命』の工具はありえない。これらの最大公約数を把握し、顧客ごとの要求に応じた提案をしていくことが大切。品質保証の面ではワルターの測定器『ヘリチェック』を用意している。切削に関するオブザーバーに協力頂き、加工技術の研究を行い、結果をユーザーに公開している。さらに、高速回転のマシニングセンタ(ソディック『MC430L』主軸は4万回転など)も設備し、製品の加工能力実証も行っている」。
 同社では、4年前に、再研磨で公差5μmを確立。他の再研磨メーカーに先駆けて、JIMTOF2004に出展した。設備面ではCNC工具研削盤は牧野フライス、ロロマティック、宇都宮、ワルター等の大手から、「NCとマニュアルが両立できる」伊藤製作所、「通常とは違った機械設計を行っている」ワールド機械等、国内外を問わず多種多様にそろえている。プロファイル研削盤、マニュアルの万能工具研削盤も多数保有。テクノワシノ、エワーグ、オーエスジー、藤田など。より良い工具研削盤を求めて既製品ではもの足らず、自社で工具研削盤の開発まで行う。
 自社製研削盤が完成の暁には、ドリルの再研磨に注力していきたいという藤原社長。ドリル再研磨の難しさは、要求精度の高さと見ている。「精度よく量産化を図る、という難しい分野。マニュアル機にチャッキングする際、当社が要求するフレ精度をだせる研削盤がなかったが、自社製のオリジナル研削盤が完成すれば解決する。再研磨市場は、一説には500億円という話もあるが、その中で、当社が新しく食い込めるところはまだまだ沢山あると思う」。
 「設備投資はイタチゴッコ」という藤原社長。採算面での量産効果追求と、納期面での単品への対応とのバランスを取りながら、NC機とマニュアル機とのバランスをとっての設備投資を行うようにしている。
 中期的目標として、今の3倍ほどの企業にまだ持っていくのが目標という。今年度中に2件ほど新営業所の開設も見込む。「目標を持ち、プラス思考で、最後まであきらめない」が社内での合言葉。再研磨だけでなく、自社のオリジナル工具製作にも意欲的だ。「現状、全体の中では1割強ほどでしかないが、将来的には新作と再研磨を5分5分程度にしたい。工具メーカーさんの標準品とは違った、再研磨メーカーならではの、特長を持った工具作りを行っていく」。





再研削の現在(第3回)
OSGの再研専業メーカー エスディ製作所
再コート受注も強味のひとつ
 茨城のエスディ製作所と言えばOSGの関連会社で「メーカー再研」を特徴とする工具再研削の専業メーカーとしてグループ内で確かな地歩を築いている。斉藤一秀社長によると「エンドミルやドリル、タップなどの再研削を始めたのが昭和62年、今年でおよそ20年になる。転造ロールのOEMを手がける『顔』もあるが、売り上げの7割はOSGを主体とする工具の再研削」で生計を立てる。3年前の社長就任時にあった多額の借入金がこの4月でほとんどゼロになり「控えていた設備投資にも力を入れていきたい」段階を迎えたとの斉藤社長の話を聞き、本社を訪問し、現状と今後の見通しを取材してみた。
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 エスディ製作所の再研削の扱い品目を概観すると、超硬エンドミルで5万3千本、ハイスのエンドミルで4万本、クリスマスカッタが1000本、超硬ドリル4万本、ハイスドリルで7万本、タップで2万本、転造工具9千セットとなるようだ(いずれも年間取り扱い数)。
 納期は、工具再研削の一般研磨で7日、研磨+コートで10日、緊急品の場合一般研磨で3日、研磨+コートで7日、転造ロールの場合、納期7日、緊急で治工具ある場合3日(いずれも暦日)という短納期で対応できる体制にある。
 「CF中心の経営を主体とした財務体質の改善に全力を投入してきて、ようやく借入金ゼロが見えてきた。控えていた設備導入が自己資本で可能となり、建て屋も現在工場近くに確保している500坪の土地への増築も検討中だが、先行して400坪ある倉庫を改造して新たに工具研削盤を導入するほか、恒温室なども設ける予定」と言う。
 航空機関連、環境に配慮された自動車向けの特殊工具、タービンブレードといった重電向けのクリスマスカッタなど、他社ではなかなか手がけられない再研削が同社の「売り」のひとつだ。加えてFX(チタンアルミ系)コーティングをはじめ、DIA、TiN、TiCNなど各種再コーティングもグループ内のOCS(オーエスジーコーティングセンター)を通じて手がけられるという強みもある。
 「OSGの流通が中心なので拡販しにくい場合があるが、メーカー再研のアドバンテージがあり、体質強化と併せ売り上げも再研部門で年率15%ずつ伸ばすことに成功し、今、全体の売り上げで9億円弱、工具の再研削で7億円近いウエートを占めている。設備面、なかでも工具研削盤の分野では昨年末に宇都宮製作所製を導入し、今年もさらに固有の仕様を追加した同機種が製造の戦力に加わる」として"設備投資"全開を仄めかす。
 製造スタッフは30人(全社員43人)。「新人が多い」と斉藤社長は語るが「近隣に大手工具メーカーの生産現場が控えており、そこでの派遣社員などを雇用することにしたため、経験こそ少ないもの優秀な者が多い」ようだ。
 OSG出身の藤城友近氏を技術顧問に迎え入れ、新人教育はもちろん、新商品にもアプリケーションを自社開発し早急な対応が可能だ。また稼働率の悪い機械のシステム開発での再利用や不用機処分を図るなど、斉藤社長と連携しながら工場内の省力化に尽力して、無駄を排した生産体制の構築に力を入れてきた。
 「OSGの再研削の認定工場になるまでに2年を要した。品質項目は100以上あり、ドリル、エンドミルなど種類に関わらず、全工程にわたって確かな再研工具を提供できるものと自負している。最新の測定機器と技術の蓄積によって図面がなくても刃先測定だけで元の製品のスペックを再現できる技術体制を整えている」と言う。
 OSGの従来品はもちろん、新しい技術を盛り込んだ新製品の工具再研削は、他社に真似のできない強みであり、その蓄積は再研削の「横展開」に繋がっていく。
 特に今後増加するであろうアルミ合金系工具再研削の技術と設備の研究を進めているのは注目に値する。
 「当面は売り上げ10億円には乗せたい」との斉藤社長の目標はそう、高いものではないだろう。

(写真:工場のアプリケーション能力には高い評価が寄せられている)






再研削の現在(第2回)
ジヤトコツール
外販比率が45%に
 昨年4月時点でジヤトコ本体以外からの売り上げである外販比率が30%弱、この数字が、既存ユーザーからの急激な仕事量増大で年末には45%に達し、外販はジヤトコと比率ばかりか絶対額の点でも2分する勢いで伸びている。これに伴い、工場はフル稼働状態が続き、ジヤトコツールでは「生産余力をいかに生み出すか」が焦点になってきたと言う。本社を訪ね、斎藤茂樹社長にこの間の経緯を含め、当面の課題と解決に向けた取り組みについて聞いてみた。
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 再研業は在庫を持たなくて済み、リスクが少ないからいいねーそんな風評を最近、よく耳にするようになってきた。それだけ工具の再研業が忙しくなってきた証拠だろう。冒頭、この点を齋藤社長に質してみると・・・
 「在庫を持たないということは、日々で見た場合、生産計画の立たない、受身の仕事とも言い換えることができる。どんな仕事でも一長一短がある。だが、客先と一緒になって刃先を作っていく、技術を含めた提案内容が評価いただけるようになり、既存ユーザーからの受注量をこなすのに嬉しい悲鳴を上げているのが実情だ」
 齋藤茂樹社長の言葉を借りれば「納期の面で煽られている」と言う。
 「現状で150社の取引先を抱えているが、この既存のユーザー先からの受注量が半端ではない。売り上げ的に見ればドリルなどの軸モノとシェービングなど歯切り関連工具にほぼ2分できるが、特に自動車関連で培った歯切り関連の再研削は激増している」
 軸モノは種類も多く生産性が勝負というのが合言葉。工具の多様化に伴い、再研工具も段付き、PCB、ダイヤ、CBN関連と、多段化、複合化工具が増加傾向にあり、差別化を図ることは難しい現状にあるが、今月にはフォルマーのワイヤ放電加工機を新たに設備して、ダイヤ以外の各種工具への拡大見極めを図っていくなど、その糸口を探っていく構えだ。
 一方、歯切り関連は工長が直接、客先に出向き、トライしながらコンサルティング業務を含めた提案で信頼関係を構築、この分野での優位性を最大限発揮している。
 「製造スタッフはパートを入れて90人。仕事の流れにメスを入れていくことで効率アップできる余地はたくさんある。研磨の前、後それぞれの分業を鮮明にしていくことも一案。今年の4月からは社内で仕事に直結する技能オリンピックを実施し、伝承の重要性を徹底していきたい。昇格、昇給の条件として技能のウェートを上げていきたい」
 再研削にも手動、乾式の手動、NC・・・といろいろある。簡単な標準ドリル等の再研削作業は乾式の手動機でも対応可能であるが、マルチドリルに代表される高精度工具については、NC機での対応が加工精度確保面で不可欠になってきている。 また、高技能者不足という面からもNC機など、設備対応による再研削の比重が高まっているため、設備の効率的活用がポイントとなろう。

 「工具の刃先にはいろんな情報が詰まっている。どんな使われ方をしたか、あるいはしなかったか。感受性の豊かさも仕事をするうえでの重要なファクターで、客先での使用条件、切削条件のアドバイスにも通じていく」
 表面的にはジヤトコツールの工場能力は限界にきている。新規拡販ができる余地は一見ないかのように見える。しかし、現状の「ヒト、モノ、設備」で今の2倍の仕事量をこなしたいというのが齋藤社長の、今や持論となっている。
 「量と種類の増加、増大に対応できる工場内のシステムづくりが今の私の課題。7割程度はできつつある。資源の節約、コストの低減という、ものづくりの根幹で、当社にフォローの風が吹いている。我々も、ものづくりの体制を再構築していくことで『2倍』の生産量を確保し、再研のアウトソーシング先としての地歩を確かなものにしていきたい」
 <取材メモ>
 既存のリピーターからの絶対量が1・6倍に増え、新規拡販に「待った」をかけている。営業スタッフにとってはある意味で微妙かもしれないが「現在のお客さんには品質はもちろん、納期でご迷惑をかけられない。生産余力が生まれ次第、奪われた市場は取り返しにいけばいい」との志村営業部長の発言には心意気を感じる。
 マルチドリルの認定再研工場に指定されて以降のジヤトコツールのブランド力は、特に軸モノの再研で大きなステータスを築きつつある。工場内の技能向上にも一役買い、パートを含む製造スタッフの、効率と連携の強化がこの面からも要請されているように思う。





再研削の現在(第1回)
工研(神奈川県座間市)
新作超える再研磨工具も提案
 超硬ソリッド工具が世に出て以来、工具の再研磨が誕生したと言っていい。そしてこの10年、請け負う側の技術が急速に進歩し、工具の再研磨市場は着実に大きくなってきている。神奈川県座間市の工具再研磨メーカー、工研は「2年以内に、営業所を各地に開き、全国展開を行う」という目標を掲げ今年3月には、岩手県の北上市に営業所第1号を開設した。同社の比留川幸雄社長は「『再研磨工具のレベルは低い』というイメージを持つ工具ユーザーがまだまだ多い地区」との認識を持っていたが、北上営業所開設以降、そんな既成観念も徐々に払拭させつつあると言う。同社全体で見ると、ここ半年の間に全国での顧客数を300件増やし、取引先総数は1000件を突破した。今後の再研磨市場を占う上でも、同社の比留川幸雄社長を訪ね工具再研磨の現状について聞いてみた。
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 北上営業所を開設したしたことで、いくつかの問題点が見えてきたという比留川社長。再研磨の仕事は、地元密着型で地域に根ざしたサービスが必要とされるが、一企業で抱えられる営業マンの人数は限られてくる。営業所数を増やせば、各営業所に所属する営業マンの数は減り、その結果、各営業所内で、また、営業所間での意思疎通・情報伝達が難しくなるという面が出てくる。営業所の店舗数と、その所属人員数の"さじ加減"に非常に気を遣うそうだ。
 「小さな規模の営業所を地域ごとに作り続けるよりも、東北・中部・関西・中国・九州とブロックごとに営業所を置き、それぞれの営業所に営業マンを集中させ、動かす方がより効率的かもしれない。たとえば東北地区では、今、関東の工具ユーザーが相次いで福島に工場を進出させている。元々、工具の再研磨への関心が高い福島が、今後大きな市場になると予想している。試行錯誤するだろうが、福島の市場の広がり次第では、新たに福島営業所を作るよりも、開設した北上の営業所を宮城あたりに移し、人数を増強して、岩手、仙台、宮城、福島、山形あたりまでフォローする東北地区を統括させるほうが良いかもしれない」。
 いずれにせよ人材の確保が最大の問題点であるという。どの業界も同じことだが、いわゆる中小企業における人材不足は、言われ続けて久しい。
 「フリーター・ニートと、面接に来ても働く気がないような若者は多い。またやる気があっても、ある程度の年齢を超えた人間には覚えるのは難しい仕事でもある。20歳前後でやる気があれば、全くの素人でも1から全てを叩き込むのだが…」
 再研磨業界は狭い業界なので、経験者を雇うことは難しいのだという。技術がある人間であればあるだけ、他社からの「移籍」は「引き抜き」に見えてしまう。同業者間で、仕事の受け渡しを行うこともある、情の濃い業界ではタブーに近いようだ。
 技術的に見ると、工具の再研磨メーカーはそれぞれに独自のノウハウをもっている。工具研磨機メーカーはそれほど多くの数があるわけではなく、どの再研磨メーカーも同じ
ような工具研削盤を導入している中、良い機械を導入するだけではなく、それを使いこなす技術(=アプリケーション)を育てることが大事なことであるという。
 「オンリーワンの工具を作ることが大切。そのためには、顧客と対話型の企業でなくてはならない。『どのようなワークをどのような条件で削りたいか』という顧客ニーズをいち早く察知して、顧客に工具サンプルを提案していくことが大事。当社では『再研磨は再研磨で終わってはならない』を基本姿勢に、新品同様の仕上げを確保して提供している。最近では、『新品では刃持ちが悪いから、もっと持つように再研磨してくれ』という注文もあった」。
 機械加工現場では、顧客間の横のつながりも馬鹿に出来ない。実際に再研磨した工具を使っている同業者の口から「良い」と聞けば使ってみようと思うものである。同社でも顧客間の口コミで広がった部分が相当あるという。
 「注文は1本からお受けしている。その1本から心をこめて研磨することが、次の注文の元になる。『たかが、再研磨』と言われない仕事を常に心がけなければならない」。