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マテリアル(東京都大田区)

キタムラ機械の良さは「壊れない」
 アルミ、ステンレス、スチール、真鍮などの素材切断販売で16年前に起業したマテリアル(大田区南六郷)が、切削加工を通じて防衛機器、衛星機器、通信機器、医療機器といった最終製品の試作に挑み、成果・実績を積み重ねてきている。
 「創業から7年くらい経った辺りから『試作からの立ち上げ』を意識して、客先の量産コストをさらに引き下げられるよう活動を展開してきた。今では当社の設計部隊を動員し、一歩進めて図面からの提案を行い、取引先の"困りごと"に対処できるようにしている」と創業者の細貝淳一社長は語る。設計に9割の時間を費やし、加工は1割の時間で、が持論だ。取引企業は北は青森から南は鹿児島と広範囲。およそ500社を数えるが、中には大手企業も数多く見受けられる。
 現状でこそ40人体制を敷き、年間、売り上げ10億円を叩き出すが、26歳で創業した当時は奥さんとの二人三脚。
 「昼間は非鉄金属の販売をやり、夜になると溶接のアルバイトをやって何とか食いつないだ。休日も取れないうえ、3時間眠ればいいほうだったという生活が1年ほど続いた」というファイト溢れる起業当初を振り返る。
 売り上げの4割を占める素材の販売は今も営業の原点、としながらも、志であった「町工場からの脱皮」を掲げて、最終製品までを視野に入れ、やがて切削加工の分野に参入。スタッフも徐々に増え、具体化されるのは、前述の創業7年目から。工業高校で旋盤を使った経験がある現取締役の須賀宗政氏の入社が直接の機縁だったようだ。
 「では、マザーマシンをどうするか、と考えたときに、信頼する会社が、キタムラ機械製を導入していた。現物の摺動面など、一目見て、手間と労力を惜しまない手作りに近いその作り込みに惚れた」
 だが、切削加工といっても、新参者の体力では、量産分野に挑戦していてはコストが折り合わない。試作から入れば可能性が広がるのではと考え、飛び込み営業のほか、DM、展示会の活用といった多様な方法を駆使してアピール活動を展開し、理解を得られた会社から切削加工の仕事をスタートさせていった。
 「与えられたテーマ通りにまずは作ってみて、その後に、それとは違うものをサービスで提案して試してもらう方法を実践していった。当初からマイセンタ3Xを2台同時導入したのも実用機とチャレンジ機の使い分けを考慮してのことだった」
 ポイントは期待通りのものづくりをするか、期待以上のものづくりをするか。そこにスピードが付加される。材料は豊富に在庫されている、その強みも生かして「今日欲しい」といった要望にも応える。
 「試作の小ロットで扉を開いて量産の仕事を獲得していく。メインであるアルミの重切削はすべてキタムラ機械製で、切り粉率(実際に切り粉を出している割合)は60%と高い。電力消費が少ないうえ、長持ちする。今年の6月、量産向けにHX500iαを導入し、今ではキタムラ機械のマシニングセンタは計5台となったが、最初に導入した2台に先日、キサゲを施してもらったところ、初期精度が復活。しかも1台当たりの費用も安い。正直、感動した」
 時間とのせめぎあいの中、回転、送りを上げても歪みのない製品が出来上がるという。他社製に比べ、アルミ加工での優位性が認められるようだ。
 「今年の5月、北関東のお客様を拡大するために、茨城工場を稼働させた。軽切削の仕事に特化した体制を整えていきたいが、来年にはもう1台、キタムラ機械製を設備したいと考えている」
 自社製品を製作していくことを最終の目標に置いている。それがどんな分野になるか、楽しみにしたい。
(写真:キサゲ作業で初期精度が復活)

  (取材メモ) 大田区生まれ、大田区育ちの細貝社長は、地域のネットワークとして、かつて機能した「仲間回し」を復活させたいと考えている。20社強で「名前のない会」を発足させた。気の良い仲間たちと、わいわいがやがや、の楽しさ溢れる集まりになってきたと言うが、これまでに、例えば、測定器メーカーミツトヨからのご好意で「表面粗さ」の勉強会なども実施して、ものづくりの「横展開」に繋がるような活動も模索してきた。創業20年を迎えれば、「引退」との考えを抱いているが、自社製品の生産という目標との関連では「現役続行」の可能性も高いのではないか。