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 川崎重工業 岐阜工場のものづくり
   
 日本も支える世界の空
 日本の航空機産業の大黒柱のひとつ、川崎重工業岐阜工場の広大な構内に一歩足を踏み入れると「世界に雄飛する航空機メーカーを目指そう」、と大きなスローガンが飛び込む。航空機関連の仕事が大部分の岐阜工場の従業員は4千2百名。各務原市の岐阜工場、愛知県にある名古屋第一・第二工場で構成されている。その航空機のものづくり最先端を取材した。

 民間機で、世界の航空機市場を俯瞰したとき、いま現在、ボーイング社とエアバス社の二大企業が世界の空の制覇をめぐって激突する構図が浮かび上がる。そして、その命運を支配すると目されるのが、ボーイングの中型機787、エアバスの大型機A380の受注、生産競争。現状は787の800機受注のボーイングが先を越す。
 川崎重工業の航空宇宙カンパニーでは、そのボーイング機の767、777、そして、新型機の787の開発・製造パートナーとして、前部胴体、主脚格納庫、主翼固定後縁部の生産を担当。
 そのほかに、エンブラエル社のERJ(定員70〜
90名の小型機)も、月産15機ほど共同開発・生産を担当するなど、機体メーカーとして、岐阜工場が位置づけられている。
 この岐阜工場の仕事量のうち部品加工量の70%は、修理も含め民間用だという。
 「民間旅客機のものづくりの特徴は、やはり、安全性を重視して、安く、早く、量が問われる」と話すのは酒井誠設備・治工具課長。
 「航空機の場合、大戦後、1970年までは、ものづくりの方法は、製造メーカーから技術供与を受けたライセンス生産下での作業だった。それが今では、開発・設計・製造・治具開発までは独自で決められるようになった」と、白石明裕部品工作部長。
 技術的な進歩としては、かつての手作業から、3次元CADによる設計、シミュレーションによる効率化など、マシン・IT技術による作業へ。
 かつては、100の部材を組み合わせていたものが、今では1個のアルミ塊から削り出し、組み立て精度も上がってきた。
 技術の変遷は、アルミ薄板板金加工を例にとると、一世代目では、リベットは手打ち、組み立ては現物合わせ、治具はマスターの役割を果たせばよかった。
 ボーイングの777の2世代目になると、CAD/CAM導入による上流工程から下流工程までのコンピューター化が進み、素材もアルミ合金が超々ジュラルミン化で強度が増し、一体ものができ、リベットは自動打鋲機が登場。各現場でNC化が進み、部材の一体生産で、部品点数を減らすことができたようだ。
 その部品点数だが、「1機の航空機を構成する部品点数は、60万個から300万個、川重岐阜だけでも10万個は下らない」と、白石部品工作部長。ロット数は1個から10個程度。たとえば、ボーイング747の部品点数はボルトから数えて600万点。この600万点の部品を作る企業は、1千社。余談だが、ボルトと言っても、1本2千円もするのはざら。
 そして3世代目、現在の大きな特徴は、素材に炭素繊維強化プラスチック、通称CFRPの進出だ。
 航空機の大きなニーズである低燃費、軽量化で、このCFRPが、787では主構造で複合材として多く使われるようになった。
 ひと口にCFRPと言っても、樹脂の割合が異なるなど、種類は数多い。岐阜工場では、CFRP用の積層設備を入れ、設計、強度に合わせて、自在に作るところまで来ている。
 「そのうち、1機丸ごと複合材による一体成形ができるのでは」と言われるほど、複合材の進出が大きいのが今現在の特徴だ。
 素材にCFRPが多くなった航空機では金属部材も進化している。使用する切削工具に例をとれば、「部材にチタンを使っているので、刃具寿命が短く、正直頭を抱えている」と酒井設備・治工具課長。
 加工で多いのが、リベット穴やボルト穴の切削加工。岐阜工場が担当するボーイング777では、そのドリル穴が5万穴、1フレームだけで2から3千穴もあるとか。
 他社が担当する787の1部位では、4万穴あるとの話。
 岐阜工場で使うそうした工具の中には1本が10万円もするものもあるとか。
 「CFRPなどの新素材については、かねてから社内で研究は進めて





 Cominix製品 充実化進む

 EMO発表の新製品がラインナップへ
 オリジナルブランド『Cominix』として海外製の優れた製品を販売している大阪工機。今年9月にドイツ・ハノーバーで開かれたEMOにもバイヤーが向かい、いくつかの新たな製品を仕入れた。その1つとして、イスラエルのVARGUS(バーガス)社が製造しているねじ切り工具「VARDEX(バルデックス)」の新商品、旋盤用チップ『V6』がある。


 EMO会場で現地のユーザーの目を惹いたという『V6』だが、EMOを訪れて『V6』を眼にした日本のユーザー興味もそそっていたらしい。日本での販売代理店を務める大阪工機に対し、国内での販売開始時期や価格などを問い合わせてくる声が多いという。販売開始前からこの反応があるのは珍しいことだという。
 『V6』最大の特長は、ねじ切り用旋盤用チップとしてオーソドックスな三角チップでありながら、裏表を使用することで従来の倍の6コーナー使用できる点にある。世界で初めての試みで、ワールドパテントも取得済みであり、「おそらく『あったら良いな』と誰もが考えたであろう、しかし、これまでどのメーカーも現実化し得なかったチップ」(大阪工機営業推進部・大森善之さん)だ。
 母材に超微粒超硬材を用い、TiN化粧コートを施しているので、強度の面でも心配は無い。また、工具装着時に専用シートを使うことで従来品と同じホルダーを使うことが可能。その専用シートも、10個の工具を買えば、無料で1枚付いている。
 工具を用いる現場において、コスト削減のニーズが止まることは無い。「V6」は従来の使用可能コーナー数から倍になった事で、単純に加工コストが半減することになる。気になる売価は、「従来品の30%増しほど」に抑える予定だといい、ねじ切り工具ユーザーには非常にメリットがある商品がラインナップされることになる。
 国内の販売は来年1月からの予定。販売キャンペーンを2ヶ月ほど組むとの事。
 この他にも「VARDEX」のアイテムが充実化している。
 今春に本紙でも紹介したミーリング用ねじ切りチップ「『MiTM』系R25」に、ロングチップ「R40」がラインナップされた。「35mm前後の深穴でも一発で加工したい、という顧客のニーズにお答えできる商品。チップ長が40mmと長くなるが、ビビらない強さを保持している」。
 さらに、ねじ山のピッチが広く、深さの深いネジ穴に対応できる「TMSD」も新登場。最大シャンク長が222mmまであり、144mmまでの深穴でも加工が可能となる。
 大阪工機が「VARDEX」の販売を始めて1年半近くが経ち、ユーザー間の認知度上昇と共に、市場からのニーズも増えてきつつあるようだ。この間、専任担当者として日本各地を飛び回り、販売推進と営業の取り纏めを任されてきた大森さんも「各営業所に販売を任せられるようになってきた。『専任担当』としての手を離れつつある」と、これまでの営業活動の種が芽を出し、実が実ってきていることに自信を見せる。さらに、ねじ切り工具に関するユーザーニーズがどのようなところにあったのかが、改めて浮き彫りかされてきた期間でもあったと話す。「国内メーカーが標準化していなかった太径ネジでの需要が多い。特にピッチが8mm以上の商品に対する問い合わせが目立った。また、ラジアス加工やフランク加工のような、これまでは特殊工具を注文せざるを得なかったような加工の際にも、VARDEXの標準品で対応できることが判ってきた。特殊品と比べると、価格はもちろん、納期の面で格段にユーザーに喜ばれている」。
 旋盤ねじ切りにつき物といえる「バリ対策」への問い合わせも多いという。同社では、この1年間の販売活動の中で、機械別・切削条件別に、どのように加工すればバリ対策が可能か、といったデータも集まってきている。ねじ切り加工時のバリで困っているユーザーが居れば、同社に連絡を取れば、何か有効な対策が取れるかもしれない。





 技能五輪開催

 CNC旋盤・フライス盤 日本チームが優勝
 11月15日から18日の4日間、第39回技能五輪国際大会が静岡県沼津市などで開催され、日本はCNC旋盤などを含め、16の金賞を受賞した。
 技能五輪国際大会は国際的に技能を競うことにより、参加国の職業訓練の振興及び技能水準の向上を図るとともに、満22歳以下の青年技能労働者の国際交流と親善を目的とした大会で、1950年に2カ国(スペイン、ポルトガル)で始まった。
 旋盤・フライス盤などCNCマシニング職種では、競技課題の加工図面が配布され、選手はそれを加工する工程、工具、切削条件を決定する。その内容をCAMを用いて切削パターンを決め、プログラム作成を行う。機械側には使用工具・ワークの取り付け、各種設定が必要になる。
 審査員はエキスパートと呼ばれ、選手出場国が派遣する。ただし、自国の選手の採点・ジャッジはしない。
 課題は各国のエキスパートが事前に準備してきた課題の中から4つが投票で決められるため、当日まで選手はその内容を知ることは出来ない。4日間で4つの課題を制限時間内に制作し、出来映えを競うというもの。
 完成した製品の寸法・形状は三次元測定器で計測され、面取りの有無や図面との整合性はエキスパートが採点し、4課題の合計で順位が付けられた。その加工精度は0・01ミリを追求する。
 今回、作成対象の加工材料は鋼材ck45と、アルミニウム合金ALSgSi1の2種で、加工時間は4時間または6時間。
 旋盤は森精機製作所のDURAシリーズと、CAMシステムはゼネテックのMasterCAM/XMR2、また、切削工具はサンドビックから提供された。
 これら事前に用意されたものはインフラリストに載せられ、選手に通知されるが、このほか必要なものがあれば、選手が持参する。
 見学者からは、「マシンの操作盤上の言語など、使い慣れている開催国が有利なのでは」「採点内容のほかに、選手が段取りをするときの動きなどが興味深い」「課題の図面を公開してほしい」などの声が聞かれた。
 CNC旋盤の競技では、参加18カ国中、日立ハイテクノロジーズの藤本アキラ選手が544ポイントを獲得、2位の韓国に8ポイントの差をつけて金賞を獲得した。また、CNCフライス盤では、参加21カ国中、同社の海老根章友選手が金賞を獲得した。





 業界25時−業界重大ニュースの観測−

 ケナジャパン合併?
 ケナメタルと京セラ両社から、工具事業に関して、明年早々にも「重大発表があるのでは」との観測が、業界の一部に急速に流れ出している。
 その重大発表の中味とは、観測筋は、日本での両社による「販売新会社設立」だと見ているようだ。
 しかし、これを確証する裏付けは、今のところナニひとつない。
 だが、そうした観測が生まれる端緒は、昨年の東京JIMTOFの前後から、ケナメタル周辺から出始めた。
 「国内でM&Aをやりたい」。それがだめなら「提携をやりたい」、「ヘッドクオーターを探している」といった具体的な話が洪水のように出てきた。
 M&Aでは、富士精工、京セラにもアプローチをかけた。そのほか、かつて手を組んだ企業にも触手を伸ばした。
 ケナジャパンのトップの更迭も、内々に決め、その人選にも積極的に動いた。その触手はケナジャパンのOBや、ライバル企業のところにも伸びた。
 そうした動きは、見境がないものと、周辺の目に映った。
 その振動は、ケナジャパンの社内にも及んだ。
 人材流失。ケナジャパンで20年、営業一筋できた幹部も、直近には解雇された。解雇理由は不明だ。そして、「ケナジャパンに営業は必要ない」と言った声すら社内に出ている。
 こうした一連の動きに、社内から悲鳴のような声も出始めた。
 「会社がどの方向に向いているのか理解できない」。「毎日がサプライズです」と言った社員の声を聞いたOBもいる。
 ケナメタルが、経営体質的に大きく変質したのは、前CEOのタンバ・カラスが、CEOに就任した98年頃からだと言う。
 ケナメタルは、もともと創業者のマッケンナー一族が支配する工具メーカーだった。
 それが、金融環境の変化で、銀行の圧力が強まり、再建請け負い人のタンバ・カラスがCEOに就任した。
 そして、米国法人のマネーゲームのM&A路線を走り出す。ケナメタル本社の役員報酬は、株価連動型のストックオプションで業界のトップ。
 ある事情通は、話す。
 「前CEOのタンバ・カラスの報酬は、サンドビックCEOの5倍、年俸3億円はくだらない。移動はファーストクラス」。
 これに対し、業界トップの「サンドビックは、役員の移動はエコノミーだが、ディビジョンのトップはビジネス」。
 米国系企業と欧州系企業の文化の違いといってしまえばそれまで。
 そして、ケナメタルの企業価値を高めるには、M&Aが最短だという。
 京セラとの新会社観測も、そのあたりから出ているようだ。


 工具通販7年の総括

 顧客数は20万社と目標達成
 生産財の通販企業MonotaROの瀬戸欣哉社長、00年に住商グレンジャーとして現企業を立ち上げた時、その意気は天を衝く勢いだった。
 5年後には「顧客数20万社、売上げ年間2千億円」をブチ上げた。
 それから7年、瀬戸社長に社名がMonotaROと変わった同社の現況を聞いた。
 「売上げは目標達成できませんでしたネ」の問いに、「実力不足です。知名度が今ひとつ、だが顧客数は目標を達成した」と話す。
 販売額は、当初の目標(現100億円)に遠くおよばなかったが、「利益は確保されているのでそれなりに評価されている」と、自己採点。
 確かに販売額は、当初の目標を大きく下回っているものの、「工具販売業者として、7年間で100億円を伸ばしているのは、余り例がないのでは」とも、その成長率に自信を持っている。
 扱い品目80万点の中で、最もよく売れているのが、切削工具。かさが小さく、時間的に劣化しないし、通販向きの商材とか。
 「インサートのCNMGなどは、ISOの当社のプライベートブランド。ドリルもそう。ソリッドエンドミルも伸びている。プライベートブランドについて、顧客から生産地の問い合わせは、ほとんどない」
 「プライベートブランドは3千点ほど、ドリル、ボタン電池など多様」と瀬戸社長。
 主力顧客の1ヵ月の販売額について、「2〜3万円クラスが最も多い。当社への貢献度で言えば、5〜10万円顧客が支えてくれている」
 「新規顧客の開拓スピードは、この6ヵ月で3万軒」と、通販での強味をみせつける。
 同形態の通販業者であるミスミについては、「ミスミのソリューションはメーカーに近い。ミスミブランドを売るが、当社は、数多くのブランドを揃え、購買選択権は顧客、その一部に自社ブランドがあるだけ」と、その差異について話す。
 顧客動向については、「買わずに登録だけの顧客は10%、1回だけ買って、以後注文のないのが5〜6万件」。これは通販全体の特長とか。





 「人間関係を大切にしたネットワークづくり」

 サカイ 常務取締役 福岡営業所長 橋元豊比古氏
 現在、福岡営業所の顧客開拓に忙しい日々を過す橋元豊比古常務取締役。車のセットメーカーがここ2、3年で相当、進出してくると言われ、切削工具の需要が一挙に顕在化してくる重要な地域の"切り込み隊長"の任に当たっている。
 橋元常務はこれまでに名古屋営業所や太田営業所を立ち上げるなど、営業の分野で辣腕ぶりを発揮してきただけに、若いときから一貫して営業の1線に身を置いてバリバリやってきたと思っていた。
 「営業の仕事で外に出るようになったのは40歳を過ぎてから。およそ20年にはなるが、それまでは経理の仕事に就いていた」と言う。
 特に会話がなくとも接しているだけで気分が和んでくる。商売はやはり人間関係と言われるが、橋元さんに警戒心や疑心暗鬼といったマイナスイメージを抱く人はまずいないだろう。
 「モノを買うという行為は人との付き合いの中から生まれる。営業に出て20年の経験で教わったのは人間関係を築き上げていくことの大切さ。自ら出向くのは当然としても『サカイってどんな会社?』という問い合わせや質問があると、できるだけ直接、足を運んでご説明に伺う。4月に開設して以降、どんな人がどんな商品を販売しているか、言わば、この2つをセットでアピールしている」
 "顔が見える商売"に徹している。担当は九州の全エリア。福岡営業所には東京本社の半分くらいのアイテムがすでに在庫されている。販売店にとって、従来では手当てできなかった切削工具が商品知識も含めて相当、あるはず。大手ではなかなか手の届きにくい、切削専門問屋ならではの活動に期待したい。





 エグロ 当面の課題は5面加工機の拡販 
 微細精密・無人化・多面加工がキーワード
 日本で初めてクシ刃形NC旋盤を世に問い、ОA機器、光学機器、自動車分野で必要とされる精密部品加工で高いシェアを占めるエグロの当面の販売課題は5面加工機の拡販にある。
 佐藤国夫副会長は「E-32Vの社内の売り上げ比率を2割にまで増やしていきたい。このマシニングセンタは88年の発表以来、光学機器、医療機器などを中心とする小物部品加工で評価を得、完全熱対称の設計を採っていることなどから熱変形の少なさで特にファンを獲得してきた機種。当社の主力であるクシ刃形NC旋盤や、大手ОA機器メーカー、自動車関連メーカーといった市場別の専用機と並ぶ柱にしていきたい」
 発売以来の納入実績はおよそ150台となる。
 特定の分野で培った機械作りのノウハウも生かした汎用の世界での合言葉は「微細精密」「無人化」「5面加工」に集約されるらしい。
 「国内市場に軸足を置いた工作機械のサプライヤーとして、言わば当然の帰結。たとえば、主力製品であるクシ刃形NC旋盤で、昨年のJIMTOFから拡販を開始した3軸制御の刃物台を備えるSANAXはその代表例。縦方向に刃物が設定できるため、微細加工に極めて有効」と言う。
 精密微細、無人化、複雑高精度は、今や日本のものづくりの現場の共通認識。エグロもその一翼を担うメーカーとして注目していきたい。





 日本アイ・ティ・エフ技術セミナーを開催

 環境・製品を守る「ジニアスコート」がスタート
 「薄膜技術で未来を拓くソリューションカンパニー」日本アイ・ティ・エフはこのほど同社のセラミックコーティング商品を「ジニアスコート」の名称のもとに一新し、主要顧客45社を集め、その技術講習会を行った。
  冒頭の挨拶で小林司社長は、「創業以来、コーティング技術を磨き、開発努力を行ってきたが、技術一辺倒に偏るのでなく、理解してもらえる企業を目指したい。このための活動に今年は力を入れており、この講習会もその一環。9月にはホームページを大幅リニューアルし、10月には機械要素
展に初めて単独出展した」と説明した。
 また、同社では10月に、日産の前橋工場のバルブリフター向けに150万個コーティング加工をおこなっており、これに使われたのは水素フリーDLCコーティングで、世界で唯一実用化したもの。
 この皮膜で、第二回ものづくり大賞に於いて、関係各社とともに優秀賞を受賞した。
 それ以前にも、水素を含むDLCで自動車部品にコーティングする技術はもっており、チタン・窒化アルミコートも独自の工夫を重ねるほか、高分子にコーティングするなど、世界で唯一といえる技術も持つ。
 「これらの独自性をわかってもらえるよう、『ジニアスコート』と名づけた。コーティングはジニアスで、と指名してもらえるようがんばってゆきたい」と述べた。
 社名のITFとは、"Ionprocess and Thin Film"の頭文字をとったもの。
 ジニアスとは、「天賦の才能・非凡な技能」や「守護神」という意味。同社がこれまでもち続けてきた、技術重視の基本姿勢と、ユーザーの製品をコーティングで守り、環境にやさしい材料・プロセスで地球を守る、という意味で名づけられた。コーティングのプロとしてこう呼ばれたいという夢でもあるようだ。

 「安心して使える」を提供
 悪環境を苦にしない薄膜
 中国の超硬工具メーカー、株洲ダイヤモンド切削工具は、日本国内のユーザーを訪問する等、日本での拡販に向け、本格的に力を入れ始めた。
 「ジニアスコート」シリーズのラインナップは軟らかい高分子材料から超硬といった硬い材料までを網羅する。
 磨耗や焼きつきが発生する摺動部位にセラミックコーティングを施すことで、金属の弱点を補う。つまり、今ある部品をファインセラミックスに変える威力を持つ。
 CVD、PVD、カソードアーク式など様々な技術手法と、豊富なラインナップで基材や目的に応じたソリューションを提供する。
 膜種はユーザーの要望により、オリジナルのものを提案することもできるが、主にチタン系窒化膜、クロム系窒化膜、DLC系の3種に分類される。
 窒化膜シリーズは、切削工具、金型や機械部品、治具で要求される耐食性、耐焼付き性、耐熱性、耐熱衝撃性などのニーズに応じ、バランスを見て選択される。
 超硬合金のプレス用金型にクロム系のIARをコートしたところ、4倍に寿命が延びた例もある。
 DLC系のコーティングは硬さ・耐摩耗性、無潤滑化で低摩擦係数であること、摺動時に相手を磨耗させない低相手攻撃性、化学的安定性、耐蝕性の5つの特性を持つ。
 従来オイルやグリースで潤滑性を持たせていた摺動部に、このDLCコートを用いることで、無潤滑摺動を実現する。給油不要のメンテナンスフリーを果たすだけでなく、このコーティングを施したバルブリフターを採用した車では、1〜2%の燃費向上が認められたという。低燃費化とともに、近年求められる低振動・静音にも貢献し、長寿命化を果たす。
 切削加工でもドライ・セミドライ加工を可能とするため、無駄な廃棄物を出さない。アルミ切削用に、ダイヤモンドコートの代わりにDLCの適用が広がる動きがあるようだ。
 またゴムなどの高分子化合物を対象にしたF‐DLCというユニークな膜もラインナップに含まれている。
 現在世界的には様々なDLCが存在し、宇宙用にNASAでも利用され始め、また飲料用のペットボトルや医療用途にもDLCの適用は拡大している。
 柔軟性と、余分な環境負荷を与えない、安心して使えることがその強みだ。
 こういった世界的な流れの中で、ITF社はDLCのパイオニアとしてDLC以外の窒化物系膜も含め、拡大するコーティング需要に対応していきたい考え。
 辻岡正憲技術部長は、「このジニアスコートの可能性を信じ、最高の顧客満足を得られるようベストパフォーマンスを提供したい。また、多様化するニーズに合わせ、質・スピードを高めてゆきたい」と語った。




 部品加工技術見学会 牧野フライス製作所

 「機械加工現場からの報告」
 牧野フライス製作所は、11月8日から10日の3日間、本社の厚木事業所にて、部品加工技術見学会を行った。
 部品加工の顧客にターゲットを絞り、厚木事業所にて久しぶりに実施した内覧会ということもあり、来場者数は三日間合計で815社1500名を越え盛況に終わった。
 鋳物を中心とした機械加工現場からの報告というサブタイトルどおり、建設機械・油空圧機器・工作機械などの鋳物加工を中心とする産業機械分野の来場者が最も多く来場した。
 実演機として用意した横形マシニングセンタa1シリーズ5機種の鋳物加工実演とサンプルを見た来場者からは、生産性と工具コストのバランスなど、加工条件に関する質問が多く挙がった。
 また、鋳物の多品種少量生産を追求している同工場の機械加工現場もほとんどの来場者が見学し、機械メーカーとそのユーザー、現場のエンジニア同士で治工具や段取り、実際の改善事例などについて情報交換をする光景が見受けられた。
 また、機械工具の導入事例では、より生産効率の高いCBN工具を使用することで、機械設備の稼働率を上げ、省スペース化に成功したこともアピールされた。
 牧野フライス製作所の広報担当者は、「予想以上に新規のお客様に多く来場いただき、実演・工場見学とマキノの部品加工に対するコンセプト・信頼性を充分訴求できた見学会となった」と述べた。





 東芝機械グループの総力を展示

 ソリューションフェア開催
 東芝機械、東芝機械マシナリー等、東芝機械グループは、11月1日から3日にかけて、沼津の本社工場でソリューションフェアを開催した。
 東芝機械マシナリーのような工作機械メーカーとしては、門型マシニングセンタや横中ぐり盤など大型加工機メーカーのイメージもあるが、東芝機械グループとして、「精密と成形」をキーワードに光・IT、半導体、自動車業界などに向けた、光学レンズ用超精密成形機や、ガラス成形・プラスチック成形用金型や精密ロールの超精密加工機、半導体製造装置、ダイカストマシン、射出成形機など、ものづくり全般にわたる技術を持っていることを改めてユーザーに知らしめた。
 期間中、アイシン・エイ・ダブリュ「ものづくりセンター」の池田重晴センター長を招き特別セミナー開かれた。「無動力思想」「ナガラ思想」の2つを軸に「資源ゼロ・資金ゼロ」の生産現場で苦労を重ね、無動力搬送装置「ドリームキャリー」のような開発を進めてきた「池田流『モノづくり』」の話は、現場に居ることの多い聴取者にも共感が持てることが多かった模様。中には、「モノ創りは人づくり」へと話が展開していくにつれて、話を聞きながら頻繁に首を縦に振る姿もみられた。
 同社が近年力を入れているナノテクノロジー分野では、精密加工センターにおいて、新開発の超精密非球面・自由曲面加工機「ULC/ULG‐100D(HYB)」などが展示され、多くの人の視線を集めた。また、切削関連のユーザーの目を引いたのが、超精密立形加工機「UVM‐450C」。サブミクロン台の加工精度を出す。導光板金型加工などの超精密金型加工をターゲットに開発された同機は、リニアモータ、高分解能スケールを搭載。また、構造体冷却システムを採用し熱変位要因を排除しているため、加工精度を高いレベルで安定させている。さらに、自社開発のエアースピンドルを搭載しているため、高回転(6000〜60000min-1)での加工が可能。





 機械納入までのリードタイム短縮へ 森精機製作所

 高精細打合せシステム導入
 森精機は、機械納入までのリードタイム短縮を狙い「高精細打合せシステム」を導入した。
 同システムは、最大100倍までの超拡大が可能なマクロレンズを持つカメラや、ハイビジョンカメラで撮影した動画や静止画を、また、各種PCデータ、テレビ会議システム、外部再生装置等(最大8チャンネルまで)を各拠点に設置された大画面にネットワークを通じリアルタイムに伝送できるシステムで、機械ユーザー等がそれら映像データをもとに、実際に工場にいかなくても臨場感溢れるサンプル実演加工や、工場風景、マシンオペレータとの会話等を通じた高精細な打ち合わせを可能とするシステム。
 ユーザーにとっては、機械購入の際の「機械メーカーの工場に訪問する」という手順を極力減らすことが出来るシステムで、「移動」によるコストを抑えられるようになる。また、「移動」の時間が無くなると同時に、商談の開始と共にサンプル加工や打ち合わせに入れるようになるので、機械納入までのリードタイムも大幅に削減されることとなる。
 現在、名古屋本社、奈良事業所、伊賀事業所、千葉事業所に導入されており、今後、海外の各拠点にも広げていく予定。

 初冬プロダクティビティショー
 複合加工機をメインに生産する千葉事業所で開かれた森精機製作所の「初冬プロダクティビティショー」には14日からの4日間で当初の予想を超える来場者があり、引き合い、成約の点でも満足の得る内容の濃い展示会となった。
 注目は参考出展された「NT6600DCG」で、同社製品中最大規模を誇る大型機。複合加工機でこの規模(写真参照)は滅多に目にしない。月産1台ペースで来春からの生産を目指していると言う。今年はじめには社内にCAMチームも結成され、複合加工支援の体制作りも着々と進んでいる。
 ショー来場者には加工工場、組み立て工場の見学会も実施され、昨年、竣工した千葉事業所が本格的に動き出した、そんな印象を強く感じた。





 育良精機の姿勢−伊藤社長に聞くー

 海外巡回サービスの充実
 自動棒材供給機のトップメーカー、育良精機が今年の7月3日付けで育良精機製作所から分社、独立してまもなく5ヶ月が経過する。昨年は自家商品部門を先行集約させた新工場を完成させ、この1年はグループの連携による施設の利用が一段と効果的に行われてきつつあると言えようか。
 伊藤隆三社長は「分社に際して考えを新たにした点は、韓国や中国、インドなどの海外での巡回サービスの充実のほか、特に頼りにされる特殊仕様への対応だ。本体機能をいかにバックアップするか、この姿勢は今後も一貫して追求していきたい」との抱負を抱く。
 同社で取り扱う給材機の種類はおよそ30種類。ここ最近のニーズでキーになるのが短納期対応と複雑化する特殊モノの自動盤への対応ーの2点に集約されるようだ。
 「すべて受注生産のため、短納期要求に応えられるよう設備の増強のみならず、現場で生産性アップの面で工夫を凝らしてきた」(水越喜久治取締役製造部長)。
 現在、標準で1ヶ月の納期だと言う。
 そして、もうひとつのキーである「特殊もの」への対応については、材料の入れ替え時間の短縮、回転数、傷がつかないような素材への配慮・・・といった内容を踏まえるらしい。「自動盤メーカーが複雑加工への提案として熱心に取り組んでこられた結果、前後進のスピードアップが図られ、この変化が給材機への最近の特殊対応を促してもいる」(伊藤社長)そうだ。
 さらに省資源の発想が定着するなか、残材ゼロをめざす取り組みは、新たなページを開く試みとしてオイル式の残材併用タイプの給材機の登場に結実、引き合いの多いタイプとして早くも定着しようとしている。
 もちろん、併用タイプの需要が顕在化してきたのも、同社の残材ゼロへの努力に加え、自動盤メーカーとの密な情報交換を抜きにはできない。
 「当社も、ものづくりの会社である以上、開発テーマを常に追い求めている。特に自動盤メーカーの欧州進出に備え、新たな付加価値ある給材機を提案できるよう取り組んでいきたい」
 メーカーへのバックアップー伊藤社長の姿勢にブレはない。