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ユーザー検証



ザクシス ヤズ
バリレス鋳物への挑戦


 昭和23年、機織機メーカーの石川製作所に向け、鋳造用の木型を製作する矢津木型製作所として創業した。今年で60周年を迎える。CAD/CAMを導入した平成3年に、現在の「ザクシス ヤズ」に改称した。
 かつて、木型が主流だった頃には手作業で仕上げるのが普通であった鋳造業界だが、省力化を求め、造型機を用い始めた頃からは、品質とスピードの観点から、CAD/CAMを用いることが多くなった。同社でも、いち早くこの流れに乗り平成3年に(石川県で3番目)導入している。
 社員数は、パートタイマーを含め21名。ニッチといえる鋳造型業界では10本の指に入る規模である。木型の1級技能士の資格を持つ矢津稔社長だが、「職人レス」の加工現場作りを目指している。
 鋳物に求められる品質とは何か。ひとつの例が「バリ」だ。CAD/CAM導入当時、ユーザーから「そんな高価な型はいらない」と見られる向きもあったというが、結果として、その先行投資が花を咲かせた。「中子と幅木の周りに出来てしまうバリは、鋳物屋にとって宿命だとはいえ、非常に面倒。後処理は手作業になるので職人が必要になり、コストもかかる。多少高価な製品であっても、後工程にかかる時間やコストがない製品を評価して頂けるようになってきた」。
 建機向けの中・小物金型製作に携わった後、ここ数年、自動車メーカー向け金型製作の設備を整え、売込みを始めた。最近では、ブレーキ関連の金型などで、評価を高めている。「一時期、中国に出て行った鋳物だが、品質の不安定さや二重品証によるコスト高などの観点からか、国内に戻ってきている。今年あたりに、大きな動きがあると見ている」。
 ただ、国内ユーザーの鋳造用金型への要求度は高いという。品質に関しては、「ユーザーが加工する途中で巣や不都合が発見されたりすると、鋳物を返却された上、それまでの加工賃も弁償しなければならない」という。しかし、これもユーザーにとっては当たり前の感覚に過ぎない。その上で、コストに差別化を求めてくるのが現状だという。「『短納期』に対する評価の別れがある。早く作れる事に評価を貰いたいのに、そのことすらも、コストダウンの理由に当てはめようとするユーザーもいる」。
 品質面での更なる差別化を図り、同社では今、従来放電加工機で行ってきた幅木や製品の付け根の加工を、小径工具を用いて切削加工することに挑戦中である。砂残りをきらい「仕上げは切削でやって欲しい」「最終コーナーRに0.5R欲しい」といった要望に対応するためだ。
 3軸機では、深彫り時に工具の突き出しを短くしての加工に限界があり、06年7月に5軸機を設備した。同社が選んだのは、DMGの「DMU80 monoBLOCK」。その選択理由の1つが面白い。言葉にすると価格の体積比率になる。「当時、1ユーロ130円の頃で、リューベ計算(X・Y・Zの加工域体積で価格を割
る)すると最も効率が良かった。ワークが大きな鋳造型メーカーにとっては、加工幅は大切。国内メーカーだと、同じ加工域なら、おそらく機械本体がもっと大きくなってしまうだろう。また、選択したCAMシステムの『hyper MILL』との相性の良さも考慮した」。
 実際に機械を動かすオペレータの東大介さんは、ハイデンハインの対話方式の制御装置の使いやすさを評価する。「『DMU80 monoBLOCK』はb軸とc軸があるタイプの5軸機だが、存在しないa軸で指令してもちゃんと動いてくれる。命令に対して素直に動いてくれるので、ややこしいことを考えなくてもいい。国内のNCメーカーの講習会等に出ると、ハイデンハインからの遅れを歴然と感じる」。
 DMG機で5軸加工を始めて、加工速度の上昇を肌で感じるようにもなったと話す。「無駄なジグ作りの時間がなくなった。ワークの段取り換えでも、3軸機で5?6回持ち替えていたものが、2回くらいになっている。また、工具の突き出し量を短く出来たので、高送り化が進み、加工時間が3分の1程度にまで縮まったものもある。ビビリが少ないので工具費も抑えられるようになっている」。
 海外メーカーの常として、アフターメンテの点で不満はあると言うが、「簡単な故障なら自分で機械の修理が出来るようになった」と笑えるようにはなった。「理想を言えば、メンテナンスフリーの機械があればベスト。しかし、それはありえない。その点、DMGさんはスプレーガンが付いているなど、工夫が感じられる」。
 公差が0.1mm程度の木型製作分野から、ミクロン台の加工に挑戦を始め、品質保証の重要性をヒシヒシと感じ始めた。「せっかく5軸加工機があるわけだから、自動車関連等の試作品加工分野に参入したい。そのためにも、測定関連の設備も整えていこうと思う」。

76号(20.4.1)




タカハシテクニア

 1912年、大正元年に創業されたタカハシテクニア。創業96年を数え、スピンドル、パレットなど、工作機械部品の製造を中心に部品加工を行っている。また、オリジナルブランドでチャックの生爪を製造しておりそれらの販売も行う。名古屋市内の本社工場と愛西工場を合わせて、社員数は約70名。
 創業者の高橋富吉氏は宮内庁の御料馬車職人を務めた職人だったが退職。職人特有の好奇心が強い性格だったようで、その当時流行の兆しを見せていた自転車の製造を始めた。昭和に入り、航空機部品製造に取り掛かるも工場が戦災にあい灰燼と化してしまう。
 戦後、工場を再建した同社は、刺繍機などの工作機械部品製造を始めた。ヤマザキマザックとの取引がもとで同事業部門を大きく延ばすが、更なる挑戦を掲げ、1974年、当時は海のものとも山のものとも見分けのつかなかったNC旋盤を導入した。マシニングセンタの導入も1980年と早い。
 これらの設備投資があたり、他社よりも早く機械化に成功した同社は、1986年から同社の悲願といえる航空機部品加工に着手。量産部品製造ではなく、試作を中心に仕事を請けている。
 同社の中小企業としては珍しいほどの多岐に亘る設備を持つ。機種だけでなく、メーカーも様々だ。NC旋盤では、オーエム、オークマ、マザック、日立精機。マシニングセンタでは、オークマ、東芝、牧野、森精機、DMG、紀和鉄工など。この他、汎用機、研磨機、放電加工機、測定機器も各種取り揃えており、同社の竹青(ちく・せい)製造課長は「100年近くに渡って蓄積されてきた加工ノウハウと、これらのバリエーション豊富な設備を用いて『何でも出来る』のが当社の強み。図面さえいただければ、素材の手配から製造、デリバリーまで全てこちらでお請けできる」と胸を張る。
 初代以降、「職人気質」が社風として残ってきた同社。「良い製品」を作る為の努力を惜しまぬ一方で、納期遅れになることも多かったという。2001年に社長に就任した4代目、高橋弘茂社長は、時代の要請と離れている製造方法を見直し、工程整理と機械稼働率のアップに取り組んだ。改善に先駆けて社内で統計を取ったところ、稼働率が3分の1程度だった。現場作業者に「何でも加工が出来てしまう職人」が多かったために、作業者が個々のペースで仕事を行っていたことが主な原因と判断し、工程の管理を見直すことから始めた。
 徹底させたおかげで8ヵ月後には稼働率倍増に成功したという。「現在では、稼働時間63.5時間、稼働率60%強と、現場スタッフとしては誇れる数字になったと思う」。(竹課長)
 これら工程集約を行う上で、同社が新たに導入した機械がドイツDMG社の5軸5面加工機「DMU50」。立形、横形機械を使用し2工程に分割して加工していた仕事を集約する目的で採用した。
 今は加工工程を管理する立場にあるとはいえ、導入当時、オペレータを務めていた竹課長は、その使いやすさに惚れこんでいる様子。「日本メーカーの5軸機には『接近性』が良くないものが多い。ワークを設置する際に苦労してきた。ヘッドも圧迫感を与えてくるものが多い。しかし、DMGの機械は操作性が人間工学に基づいて作られているように感じる。ヘッドが軽いので干渉も少なく、小回りが利く点で作業性が良い。また、操作盤が低い位置にあり、長時間の作業でも楽に出来る」。
 オペレータにとって判り易い機械設計だと感じるという。「加工原点を考える必要がないことは作業者にとっては有難い。3軸機に近い感覚で5面加工が出来る。加工ワークの置き方を決めれば、機械がどのように動き、どのように削るのかを容易に想像できる。ハイデンハイン製の制御装置と機械との追従性も優れているので動きもスムーズ」。
 管理する立場になった事で、イニシャルコストに関する部分にも気を使うようになった。「2000万円+αという価格も非常に魅力的。現在、オプションで付けられるチップコンベアは、標準装備にすればもっと良いと思う。今後は操作画面の完全日本語化を実現して頂きたい。また、アフターサービスの面で充実化が進む事を期待している」。
 同社は今月のMECT2007に出展を行う。出品するのはオリジナル製品の生爪。異形ワーク把握に優れる円形生爪に関する特許も持つ。新製品として角型ハードジョータイプの生爪も展示を予定している。
(写真上:数多くのメーカー製機械が並ぶ工場。下:ワークの接置が非常に楽だという)

  【後記】 経営改革を進めたといえ、「職人」へのこだわりは、現在も捨てていない。社名の一部『テクニア』はテクニック(技術)と〜er(〜する人)を掛け合わせた造語。テクニア=技術を持つ人=職人、という意味。また、「テクニアカレッジ」の名で機械と加工の講習会も開いている。座学と実技を授業スタイルで1ヶ月間みっちりと教えこむ。他社の社員でも受講が可能。




ジェイエムピー

 試作専門の金型メーカー、ジェイエムピー。大阪府高槻市と神奈川県横浜市に製造拠点を持つ。
 1992年にバイクのディスクブレーキ用プレス金型製作からスタート。金型用の3次元データの請負製作も平行して行っていたが、ワークNCの登場で価格が下落した。
 その頃に、データに付加価値を持たせるべく、粉体をレーザーで焼結する積層造形を利用した樹脂モデルの製作を始めた。粉体のシンタリング機『EOSINT』(独・EOS社)を国内で最初に導入したのは同社で、初期不良には悩まされたというが、結果として、メーカーと共に機械を練り上げていく役割を果たし、同社にノウハウが蓄積していった。
 創業時から続けるバイクのディスクブレーキ用プレス金型製作には大きな自信を持つ。ハーレー、APRILIAなどの海外メーカーや、「スズキ以外のほとんど」の国内メーカーの金型を扱っている。値下げ要求にも屈さず、高い利益率を保持する。金型製作に従事する3人で、1ヶ月当たりで1800万円ほど売り上げたこともあるという。「理由はわからないが、我々がやっているバイクの業界では、金型作りの中でも稀なことに、需要が非常に安定している。20年近く一定の需要があり続け、この道一筋でやってこられた。その結果、顧客が知らない技術も多数蓄積している。コスト競争の面で他社に流れる仕事もあるが、納期・品質がきっちりとしていれば、ほとんどの顧客からコスト面でも納得頂ける。今後10年以上は続く仕事と見ている」(塚正喜社長)。
 現在も、バイク業界はアメリカ、東南アジアを中心に海外で好調だというが、仕事の一極集中を避け、関連する新規事業を少し拡げている。
 モデリング業もその1つだが、さらに樹脂モデル作りのノウハウを活かし、ロストワックス製法による精密鋳造も行っている。同社の横浜工場で一括して行っていたが、当初、鋳造用金型製作は外注に頼っていた。しかし、昨年、本社高槻工場にDMG製の5軸マシニングセンタ2台(DMU60T、DMU50)を相次いで設備し、鋳造用金型の生産を始めた。鋳造した製品への加工だけでなく、自動車部品、金型部品の加工も請け負っている。「顧客に工場を見て頂くこともあるが、設備を増強したことで、受注量が増えてきた。現状、オペレータに負担をかけないように、バイク向け金型にはDMG機は使用していないが、積層造型機、ワイヤー、フライスに加えて、5軸機を導入したことで、顧客から『どんなものでも加工できる』と思っていただけている」。
 バイク向け金型製作には森精機製作所の機械を用いている同社だが、新設備にはDMG機を選択した。選択のポイントは、『5軸』。「シリンダヘッド加工のために5軸機の導入を考えたのが最初。日本メーカーの5軸機を見ると、3軸機にむりやり2軸を付け加えた感がある。トラニオンタイプだと干渉があり、扱い難そうだと思っていた。その点、DMGの5軸マシニングセンタは、『5軸ありき』で開発されている。扉を開ければ、テーブルが近く、非常に作業性も良い。また、曲面、ガラス面が多いなど、デザイン的にも優れているのも良い。高送り、早送りをしてもビビらない剛性もある。ただ、これがどこまで耐用できるかは、今後を見ないとわからないところではある」。
 金型を始める前は建築士だったという塚社長。新宿京王プラザの外壁工事を取り仕切ったこともある。そのせいか、『造形美』に対し独特のこだわりを持つ。
 「機能的に優れているものは、見た目にも美しいものが多い。『金型』の中でも、優れたものは、オブジェとして飾れるほどの美しさを持つ。機械もそうではないだろうか。デザイン的に優れていれば、機能的にも良い。その点、DMGには魅かれた」。
 DMU60Tが設備された時に同社に入り、以来、オペレータを任されてきた矢野さんは、5軸機としての使いやすさを保証する。「1チャックで5面全ての加工ができるのは、段取り換えによる軸のずれを防げ、精度面で非常に良い。治具を作る必要もなく、手間も省ける。また、突き出しを短くしても深い部分の加工ができるので、工具に掛かる負担も小さくて済むと思う。機械内のレイアウトもすっきりしていて、使いやすい」。
 入社前まで、データ作りは行っていても、機械操作経験が無かったという矢野さん。しかし、機械設置後、数日後には、仕事をこなしていたという。「仕事の立ち上がりは早かった。初期不良も少ない。同時5軸機としてはまだ使いこなせていないが、それ以外は問題なく使っている。若干、芯ズレすることもあるが、ほとんどメンテナンスに来てもらわないでいる。ただ、画面上で英語とドイツ語が混ざって表記されることもあり、戸惑うこともある」。
 現在、3台目の5軸機導入を考えていると言う塚社長。その候補もDMG製だとか。
(写真:5軸フルNC「DMU60T」以外に、2軸を手動で動かせられる「DMU50」も設備している)