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ユーエスアイ(長野県上伊那郡)

 ホンダやトヨタの仕事がオーバーフローして当社にも入ってくるようになった。今年3月24日、シンコム「L‐20」を一挙に6台導入し、計100台となったユーエスアイでは、「1直24時間」で364日フル稼働の体制を敷く。
 浦野浩専務は「自動盤を止めるのは電気の点検の日だけ。切削部門の売り上げの5割を占める自動車関連の仕事は、例えば、ワイヤー機能部品などが代表的だが、毎月1ロット100万個単位で受注している。フル稼働を前提としなければ、とても消化できない」。
 昭和37年の創業の契機となったダンボールの加工部門と並ぶ事業に発展した精密金属加工部門では、エンジン廻り、ナビゲーション、バックモニター、ヒンジ等、車の共通部分の機能部品を中心に、複写機やパソコンモニター、デジタル家電、建築金具部材といった多様な挽きモノを手がける。
 「φ1ミリからφ42ミリまで対応する。海外供給等々の実績から、グローバルな競争に打ち勝てる工場体質が確立されているものと自負している」。
 金曜日に受注して月曜日に納入するのは日常茶飯事。しかも、数万個単位のオーダーだ。プログラムとツール設定を標準化して電子一元管理し、再現精度の維持向上を図る。スピード勝負が同社の生命線でもある。
 「自動車の共通部品はそんなに複雑ではく、どちらかと言えば単調な形状の製品が多い。小径で単調かつ高品質な形状こそ自動盤需要の分野。丸削りの場合、ヘッダープレスとの競合もあるが、結果的に切削加工の優位性が認められ、リピートに繋がる」。
 送りや回転数とのバランスからツールライン、削り方そのものにノウハウがあるうえ、仕事内容によって機能を使い分けられる、経験に裏打ちされた管理能力も寄与するところが大きい。
 「『F16』は長尺モノ、『B』は携帯から自動車部品までの広範囲をカバーし、場合によっては、『L』と『C』に振り向ける。複雑形状は『L』、『M』にC軸を付けたシンコムがその役割を担う」。
 設備投資は毎年約1億円。多機能設備を増設して、仕事量増大に備える。「なぜ、シンコムを導入し続けるのか。競合他社からの問い掛けでもあるが、付属部品の共有が出来る上、チャック・ブッシュの互換性と操作性の良さ、実績値の安定からリピートし続けている」と、シンコムに特化するメリットを訴える。機械本体に加え、制御能力の進歩がはっきりと感じ取れるようで、「10年前に比べると2倍の能力アップが実感でき、出来上がった部品の品質を含めた価値を見出す」と言う。
 ユーエスアイでは、「時代は環境」との認識の下、長野県最大級の太陽光発電システムを導入。840枚の太陽光パネルから発電される電気量は最大150キロワットで、工場使用量の半分の電力を担う。将来的には、全量を賄えるオール電化工場を目指す。
 CO2排出量を極限にまで抑えていこうとするユーエスアイは、環境に優しいものづくりに、もうひとつの価値を見出しているようだ。(写真左上:記念すべき100台目となったシンコム。右下:部品の1例)






村井製作所(京都府宇治田原町)

 競馬の騎手の卵が切削加工のエキスパートにー自動車部品加工をメインに手がける京都・宇治田原工業団地に拠点を構える村井製作所の永松高社長にはそういうユニークな経歴がある。
 昭和40年、21歳の時に結婚し、同社に入社。仕事量のこともあって、プレス加工の仕事にも手を染めていたある馬主さんから、ミシンや自動織機の部品加工の仕事を新たに回してもらうことになったそうだ。
 「何もわからなかったが、仕事を請け負った以上、とにかくできるまでやり通した。高度成長時代に突入しつつあったので、社の拡大のためもあり、営業は1人で飛び込んでいった」
 およそ40年の歳月を経て数人から中堅クラスの規模に発展。社員数は45人。2人の息子がそれぞれ専務、常務として永松社長を支えるまでに成長。「いい息子に育ってくれた」と永松社長は笑みを浮かべる。同社の最大の特徴は、エアコン、エアバック、ABS、エアーサスペンションなど、仕事内容の大半は自動車部品が占めるということだ。
 「15年前くらいに海外に工場を出さないかとの話が沢山、持ち込まれたが、当社はこの地でのものづくりにこだわりたい。一度は海外流出した案件でも再び日本に戻ってきたりする。日本の中小企業の競争力は世界に誇れると思う」
 と日本でのものづくりにプライドを持つ。
 シンコムとの出会いは25年前。東京の見本市で設計の人に会い「シャフトの加工ができれば購入する」と言ったら、半年後に「できました」で、ОA機器の関連の仕事用にF12をオーダーした。前評判で、シチズンはお客さんの話をよく聞いてくれる会社とのイメージを抱いていたそうだ。
 「今では100台近くシンコムが稼動している。使いやすい機械だが、これだけあるとどこかで故障もある。それでもシチズンの利点はそのフォローの良さにあると思う」
 と永松社長は言う。 最近、市場投入された「A-20」もすでに工場内に設置され、稼動していた。従来機種を概観すればLシリーズ40台を筆頭にMシリーズ、その他が続く。「1日24時間、360日」というのが平均の機械稼動時間だそうだ。
 「頂いた仕事内容に応じて、どのシンコムが相応しいか、選定できる点に他社との差別化がある。品質、コスト、納期の中でも、コスト競争力があるかどうか。とりわけ海外との競争を意識した際にはコストが最重要になる」
 部品の売値が1個で4円もしない商品もある。それでも利益を生み出す努力をしなければ将来はない。
 シンコムの具体的な評価は息子達に聞いてーそう言って、次代を担う実専務、守常務を紹介してくれた。
 2人とも、シチズンで2年間の研修を積んだ、ОB会のメンバー。
 実専務は「操作性の良さは当然ながら、削る以外でのアドバンテージで言えば切粉の排出性が抜群だということ」、例えば、と守常務がその後を継いで「背面チャックでつかんで貫通穴製品を加工する場合、背面スピンドル内に切り粉が入らないよう、ノックアウト棒にサーボが搭載され、完全にシャットアウトできる。同業他社ではまったく考えられない。おまけにチャックによるへこみキズが付かない」と言う。
 自動車部品加工で貫通穴を持つ製品は多い。この切粉排出性の良さは、直接、製品の品質にも影響を与えるだけに、機械精度の高さ、操作性の良さに劣らないほど、2人からの評価は特に高かった。
シンコムが1年間で稼動していない日数は5日ほどらしい。
 永松社長がメーカーに要望するのは「いろんな加工ができて、しかもコストパフォーマンスに優れた機械を今後も提供して欲しい。10年間も稼動すれば文句は言いません」との言葉に集約された。






松本興産(埼玉・秩父)

 秩父の長閑な山間を通って、初夏らしい陽気に包まれていると、何の目的で足を運んでいるのか、一瞬、わからなくなった。
 「シチズンさんのCNC自動旋盤60台を設備し、24時間365日フル稼働している生産システムが当社の"売り"です」
 松本直樹専務に案高精度ものは常温工場に設置されているMシリーズて対応する内されて工場に入ると、2、3の例外を除いて「シンコム一色」、その壮観な設備のありようを見て、ようやく、筆者に仕事のテンションが回復した。
 「複雑形状の加工に対してアドバンテージがあることから、高付加価値を追求できる市場、ものづくりに専心している。QCDの中では特にC、稼働率を上げてコストを重点的に追いかけている。刃物を最大本数まで取り付けた複合加工品の仕事しているところは珍しいのでは」
 と稼働率及び工作機械の極限を見据える。
 主要製品は光関連コネクタをはじめ、空圧、通信機器、医療機器、自動車関連などの精密部品パーツなどに分けられるが、松本専務が7年前に入社して以降、安定受注が図れる自動車分野へのコミットを模索。「シンコムに沿ったニーズはないか」と試行錯誤しながら5年前から拡大を図ってきた。
 「自動車業界は昨今エコカーづくりの一環で流量を調整するバルブの需要が数年前から発生している。排ガス対策や燃費の向上にも繋がる部品のお手伝いに力を入れている。立ち上げには2年を要した」
 部品精度はレンジ10μ以下、面粗度1S以下と、ほぼ鏡面仕上げのレベルだ。
 「機械の精度保証レベルも10μなので、そのキープが難しい。01年には常温工場を完成させ、高精度ものはここで集中的に取り組んでいる」
 7月には常温工場の増築に着手し、シンコムの上位機種であるMシリーズをさらに10台設備する考えだそうで、そうなると常温工場には既設のMシリーズを合わせ、総計22台が稼働していくことになる。
 「工作機械メーカーが保証していないレンジ4μの仕事が舞い込んできており、これに挑戦していくことが今の最大の関心事。レンジ4μ以下を可能にすることで部品点数を削減できるVA製品が誕生する。今は試作の段階ですが・・・」
 このレンジ4μ以下を可能とするためにシンコムの部材に手を加え、セミオリジナル機をつくっていくそうだ。ポイントになるのはボールネジ等の備品に対する保全の強化にあり、このためにわざわざ「保全課」を設けた。熱意のほどが伝わってくるのではないだろうか。
 取り引き企業は松本専務の入社前がおよそ80社、7年を経た現在は165社と2倍に増え、特にこの自動車関連分野で伸ばした。
 「売り上げの3割以上を占めるまでになった。以前、勤めていた会社の繋がりを大切にしつつ、飛び込みで拡大させていったが、私の考えではお客さんの質を変えていく事によりシンコム及び高付加価値部品に特化でき、強い体質の企業に成長できると思う。」
 父である創業者の松本肇社長は仕事の大半を息子の専務に任せている。積極的な設備投資は、資質とやる気を備えた未来ある経営者のためでもあろう。

◆取材メモ◆
 70年に松本社長が本田技研から脱サラして創業35年になる。カム式の自動盤からスタートしたが90年にはすべてCNC化、シンコムのFシリーズがその第一号を飾った。以来、プログラムのモニター画面の見易さや刃物の取り付けホルダーの精度、高精度にプラスした剛性の高さなどからシンコムファンに。松本専務はシチズンで2年間、研修を受け、同社スタッフも今年から教育を受けに派遣している。今後、毎年1人ずつ、送り込む考えだそうだ。メーカーへの要望としては熱変位対策の充実と「10μ以下の高精度マシン」を謳う、フラッグシップマシンの投入を待ち望む、とのことだ。