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太伸精工(さいたま市)

ダイカスト製品の穴あけ内径、ねじ立てを手がける

 穴あけ、内径、ねじ立てなど、ダイカスト製品の2次加工を手がける、さいたま市に拠点を擁する太伸精工を訪問した。加工治具の設計・製作で独自のノウハウを持ち、通常なら2工程を要するプロセスを1工程に集約、品質確保と時間短縮で差別化を図る。
 創業は昭和46年。清水一夫社長が30歳のとき、友人でダイカスト製品の塗装を手がけていたのが縁で土木業から部品加工業に転身し「尺からミリ、ミクロン」の世界に入った。
 熱を加え、溶かし、型に入れて鋳込む、ダイカスト製品に求められるのが「量産効果、低価格、精密」の3要素らしい。現場を切り盛りする清水浩和専務は「ひとつの例だが、かつてIT関連の仕事を手がけるある現場で、鋳物で製品を製作していたところ、不良発生率が50%にのぼっていた。それをダイカストにリプレースしたら1%未満に激減、ダイカスト製品の優位性を証明した」ことがある。「不景気な時代ほど、ダイカスト業界は忙しい」(清水専務)と言われるのも、現場での課題解決にダイカスト製品のメリット3要素を痛感するからだろうか。
 太伸精工が2次加工として請けるダイカスト製品は、自動車をはじめ、家電、IT関連が中心。取引ダイカストメーカーはおよそ15社にのぼる。受注ロット数は1000個〜2000個単位が多いそうだ。
  「しかし、1個当たりの単価を一昔前と比べると半値近くになりつつある。その穴埋めは、取引企業の拡大と機械設備の更新、新規設備にある」と清水社長は言う。
 創業間もない頃からNC機を導入、その第1号機は中村留製だったが、今の設備の主力はブラザー工業のタッピングセンタ。14台並ぶ。新たに「TC-22B」も設備する予定だ。
 「ワンチャックで最後まで、を実践しているが、その際、大切なのがダイカストのどこを基準に掴むか。それ故に加工治具の設計・製作が要となる。イメージ通りの仕事ができるかどうかもこの点にかかっている」
 清水専務は治具の重要性を再確認しつつ「他人が考え付かないような工夫を講じることも、楽しみのひとつ」と言って笑う。
 機械と工具の相性についてはよく議論されるテーマだが、太伸精工では「ツールの芯だしが簡単にできれば機械はその通りに動く」そのメリットを追求した結果「ユキワ精工のツーリングに行き着いた」(清水専務)。20年前からミーリング加工ではユキワ製しか使っていないというファンでもある。
 清水隆司工場長は「特にG1チャックは優れている。H7が一発で出る。メーカーのアピール通り、刃物の振れを抑えてくれて、非常に安定した加工が長時間にわたって可能だ。切削工具の消費も少なくて済み、コスト削減に直接、寄与している点もありがたい」と語る。
 ダイヤルゲージで工具を合わせなくとも「パシッ」と合うそうだ。
 ユキワ製では、15年くらい使っているツーリングもある・・・「ユキワ製のイニシャルコストを高く感じるか」との筆者の質問に、清水専務は端的にそう答えた。
 しかし、もちろん、課題もないわけではない。コレットとスピンドルを外すとゴミが付着しているが「これがなかなか取れない」そうで、悩みのひとつ。
 「だが、ユーザーの相談によく乗っていただけるメーカーであることに違いない。円テーブルも使っているが、構造上での打ち合わせにも気軽に応じて頂ける。飾らないというか、フランクに話し合える、家族的な雰囲気が好印象そのもの」と清水社長、清水専務ともども、製品はもちろんだが、人の温もりを感じさせる企業であることに、付き合うメリットを感じているようだった。
(写真上:品質保証体制も万全 下:ブラザー製タッピングセンタがずらり)