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ユーザー検証
日立建機 土浦工場
「安全」最優先で設備選択 
タップホルダーは100%カトウタッパー

 ここ数年、世界規模で建機の需要が増えている。特に、中国・中東・ロシアなどでの需要増が顕著である。
 それら旺盛な需要を背景に、建機業界が好景気に沸いている。国内の建機メーカーは大手を中心に軒並み業績を伸ばしているが、国内第2位、世界第3位の売上高を誇る日立建機もその1社。昨年10月下旬に発表した今期の連結中間発表では、売上高は前年比18・2%アップの4159億円。期末の見通しは19%アップの9000億円と見ている。中期計画では2010年までに1兆円企業を目指している。
 数千億円レベルの会社が、年間に2割近く業績を伸ばしていることが、業界の好況振りを示している。同社の土浦工場を訪問し、話を聞いた。


 土浦工場では、10トンから30トンまでの中型から、360トンクラスまでの大型・超大型の油圧ショベルを生産している。製品の組立てが中心だが、搬送に手間が掛かるような、アーム・ブーム・メインフレームの一部のような構造材系の大物部品の加工・表面塗装も行っている。加工で見れば溶接が8割を占める。構造材の切削加工は残りの2割程度しかない。
 油圧部品等は霞ヶ浦工場や、昨年9月に稼動を始めた常陸那珂工場などで内製するものが多いというが、エンジン、ラジエータ等購入品の使用率も高い。
 土浦工場で切削されるワークは、センターフレーム(メインフレームの一部分)など、数少ない。ワークサイズは大きいので、設備は大型機が中心である。三菱重工、東芝、オークマ、新日本工機、倉敷機械と、ほぼ全てのメーカーの機械がある。建機製造において、油圧系の部品などは1000分台の精度を要求されるが、構造材に必要とされる精度は、100分台程度と比較的にゆるい。ネジ穴精度等は2級で十分だという。精度追求よりも、より納期が早く、よりコストダウンを求めた結果、様々なメーカー機種を導入するに到っている。
 工場内の組立てラインレイアウトは、中型機と大型機で異なる。需要の多い中型機はライン対応。驚くべきことは、中型機の組立てラインにおいては、ゆっくりと動き続けているベルトコンベアの上で、ゼロから順番に、自走が利く状況まで組み上げていくこと。トラックフレーム(足廻り)とメインフレーム(上廻り)は、最初は別々のラインで流しつつ、途中で統合されるが、その1本のラインの上を、基本の15機種から最大で130機種もの製品がトン数に関係なく流れていくというから、その工程管理の妙には脱帽するしかない。
 この中型機ラインの上を1日に80台弱の製品が流れている。月産台数にして約1600台。1日20時間・2交代の生産でその体制を維持しているが、溶接・塗装のライン等は自動化が進んでいてロボットがフル稼働している。
 一方、大型機の生産量は、1日あたりで10台ほど。基本的に固定して組み立てている。同工場で作れる最大規模の360トンクラスのものでは組立作業に掛かる日数は1週間。ただ、向こう2年間の受注が決まっている状態だという。
 受注量が増え、仕事量が増大するにつれて、設備・人員双方での拡充が進められている。人員面では派遣社員を増やすなどで人員の補充を図っており、いわゆる技能者の割合が低くなってきているのが実状だという。
 工場内の「熟練度」が一定ではない中、同社が設備に求めている条件は、「誰でも安全に簡単に扱える」ことである。「QCDという言葉があるが、弊社ではその上にS(SAFETY=安全)が付く。現状では、SQDCの順で重要視している」。(生産技術部、岡崎崇主任)
 一例がツールホルダー。同社では、ねじ切り加工にはタッパーを用いている。かつては数メーカーの製品を用いていたが、現在では3工場全てを通して、100%カトウ工機製タッパーだ。「カトウ工機さんのタッパーは壊れ難く性能的に安定している上に、コレット着脱が簡単なので、非常に使い勝手が良い。かつて用いていたものは、横からネジで留める方式のタイプで、工具交換の際に、ある程度の熟練の技術が必要だった。しかし、カトウ工機さんのものは差し込むだけで済む。1つのホルダーで1日に1度、工具交換するとして、ATC付の設備1台ににつき平均で10?20本のツールホルダーが存在する。工場全体で見れば、膨大な数になる。工員の熟練度にばらつきが生まれている中、どんな技術レベルにある工員でも簡単に仕事ができる状況を整える必要があり、『誰でも安全に簡単に交換できる』点で、カトウ工機さんに注文の付け所はない」。(生産技術部・成島正義さん)
 「作業中のケガ・ミス」を極力少なくしたいと願う同工場では、自動化を進めることも視野に入れている。そのような視点から設備メーカーに求める課題として「メンテナンスフリー」をあげる。「機械・工具に、日々のメンテナンスはつきもの。例えば、先ほどのタッパーでは、工員には、こまめに油をさして綺麗に大事に使うように指導している。だが、切削屑がもっと入り込みにくい設計になれば、メンテナンスの量も減り、更に素晴らしい製品になる」。
(写真:ATCマガジンにはカトウタッパーがずらりと並ぶ)カトウ